みなみのしま

オマケ

 坂本係長という人がいる。 俺にとっては職場の先輩でもあり、上司でもある。 30を手前に、外資系の大企業でもあるうちの会社で係長なんていう役職についているのはその人ぐらいだ。 社内でも噂の出世頭であるし、実際話をしてみるとなるほど、この人な…

 ぼんやりと瞼を持ち上げる。 この数日のうちにすっかり見慣れた木の天井だ。 すでに部屋の中は明るくて、開け放たれた窓からはそよそよと気持ちの良い風が吹き込んできている。 朝だ。 気持ちの良い朝だ。 だというのに龍馬の気持ちはやっぱりどこか塞…

 それからの二日は、穏やかに過ぎていった。 以蔵は相変わらずこまごまと家の修繕を行い、龍馬はそれを手伝ったり、ぷらりと村を探索したりなどして過ごす。 何度かおばあが力仕事で難儀をしているところを手伝ったなどした結果、家に呼んでもらったり、こ…

 翌日の目覚めは、とても穏やかなものだった。 窓から差し込む日差しの強さに促されるようにして、龍馬の瞼がぼんやりと持ち上がる。隣の布団はすでに片づけられており、以蔵の姿はない。 日差しの具合から見て、どうやらすでに日は高く上った後であるらし…

 龍馬が寝かされていたのは、壁際に箪笥が一つあるきりの何もないがらんとした和室だった。 布団を敷くでもなく、畳の上に直接転がされていたらしい。 豆電球だけがぽっちりと灯り、開け放たれた窓から吹き込む涼やかな風にわずかに揺れている。龍馬が寝か…

『すみません、子どもが熱を出してしまって……。申し訳ないのですが、本日の予定はまた次回に延期させてもらっても良いでしょうか』 賑やかな駅構内の雑踏の中、そんな内容の電話を受けた男、坂本龍馬は一度ぱちりと瞬いて、それからすぐに意識して柔らかな…