坂本探偵事務所

嫉妬2

「なんだ、お竜さんの留守中に強盗にでも入られたのか」 翌日の朝、事務所にやってくるなりそんなコメントを漏らしたお竜に、部屋を荒らした張本人である龍馬ははは、と小さく苦笑をしながらそっと目をそらした。 つい、我慢がきかなかったのだ。 惚れて惚…

嫉妬1

 それは、偶然だった。 ふと坂本探偵事務所とは関係ない筋からの頼まれごとで出かけた先にて、以蔵は自らの雇い主剣が雇い主兼愛人以上恋人未満たる男がデレデレと女を口説いている現場に出くわしてぱちりとヒトツ瞬いた。「ほお」 思わず低い声音が零れ落…

あやかし退治

「おうおう、悪いもんがこじゃんとたまりよって」 最近自殺者が多発しているという廃ビルの手前、長く癖のある黒髪を無造作に肩に流した男が言う。 灰のシャツに、黒のベストにスラックス。 日に焼けた肌と合いまり全体的に色味の暗い、闇に溶け込みそうな…

わりことしぃ 

「――……少しだけ、少しだけ」 龍馬は自分にいいわけをするようにつぶやきながら、よたりとソファへと足を向けた。 本当なら、そろそろ自室に戻って寝た方がいいのはわかっている。 ここしばらく探偵としての仕事が珍しく立て込んでおり、ちょっとばかり…

坂本探偵事務所奇譚

 それは夏休みに入る少し前のこと。 小学校に上がって四回目の夏を迎える音無勇樹は、いつものようにランドセルを背負って通学路を歩いていた。 あといくつか数えれば夏休み、というこの時期、自然と周囲の空気はそわそわと浮ついたものになる。 そんな中…