はつこい、わかるまで
それは、ある夜のことだった。 普段散々世話になっているんだから運んでやりなよと散々はやし立てられて、以蔵は仕方なく古馴染みの男をずりずりと引きずって歩いていた。 最初はその嫌味なほどに長い足を持って引きずり始めたのだが、ぎょっとしたマスタ…
龍以SSカルデア軸,龍以
どんどん好きになる
それは、ある日の午後のことだった。 その日は週に何度か設けられているマスターのための休息日で、そういった日はよほどの緊急の案件が舞い込まない限りはレイシフトは行われない。 よって、カルデア全体にどことなくまったりとした間延びした空気が流れ…
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クリスマス斬首
龍馬には、なんとしてでも眠って貰わねばならない。 何故なら、以蔵には本日サンタクロースになるという大事な役目があるからだ。 サンタクロースというのは、人目についてはならぬものであるらしい。 誰にも見つからずに速やかに家屋に侵入し、目的を遂…
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マム・ダム―ル
カルデアの夜は長い。 否、正しく言うのなら、長い夜もある、というところだろう。 雪に閉ざされた極地に置いては、何日も陽が昇らぬ日々が続くことがあるのだ。 その逆に、白夜と呼ばれる陽が地平をころころと転がり続けて沈まぬ期間もあるというのだか…
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捕らえる手
厭な静けさが耳を打った。 それはレイシフト先での戦闘の最中のことだった。 本日も絶好調に、ライダークラスを斬り捨てて回っていた古なじみの男が突如ぴたりと動きを止めたのだ。 高笑いと剣劇の音が止み、急な静けさが違和感と結びつく。 見れば、腰…
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冬のカップル龍以
それは、龍馬と以蔵が現在にレイシフトしてから迎えた冬のある日のことだ。 その日も龍馬は一日朝から調査の為に出歩いており、帰路についたのはそろそろ空が燃えるように赤く染まり始めた頃になってからの事だった。 日が暮れ始めると、がくんと気温も下…
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文字だけベッドイン
それはある種の霊基の異常だった。「――—」 きっ、といつも以上に固く口をへの字に結んでいるのは人斬りの男だ。 むすりとそんな口元を襟巻の中に埋めるようにして、黙りこくっている。 無骨な佇まいとは裏腹に、岡田以蔵というのは意外と口数の多い男…
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ひどく熱烈な、
坂本龍馬は岡田以蔵に憎まれていなければいけない。 岡田以蔵の霊基を成立させるのは、坂本龍馬への憎しみであり、坂本龍馬という男の魂の深くにまで食い込んだ悔恨と未練だ。 その三つが『岡田以蔵』というサーヴァントの霊基の土台となっている。 その最…
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面食い
ばり。 ぼりり。 静かな部屋にせんべいをかじる音が響く。 普段は多くの英霊を導くマスターとして気をはり、しゃんと伸ばされている背中も今だけはだらりと緩やかに丸くなっている。「ねえ、以蔵さん」「何じゃ」「以蔵さんって、面食いじゃん?」「――…
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煙管
刻み煙草をひとつまみ。 指先で軽く丸めて、火皿に詰める。 しゅ、とマッチを擦る。 ちりと燐の燃える香りが鼻をつく。 あまり良い香りとは言えないが、以蔵はこの匂いも嫌いではない。 今から煙管を吸うのだ、という気持ちを高めてくれる。 花火の会…
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夏の夜
はたり、と扇が揺れる。 窓の外には今も白く吹雪が荒れているはずなのに、その男の周囲だけが夏の夜の空気を香らせていた。 水浅葱の着流しを粋に着こなし、帯には紺鉄と海松藍とが半々に熔けている。 表面に白々と波立つような青海波が涼しげだ。 きっ…
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以蔵さんに告白したら霊基異常を疑われている龍馬さんの話2
一度失ったものを取り戻すというのはとても難しい。 それが取り返しのつかぬものであるのならばなおさらだ。 むしろ、二度と取り戻せぬからこそ、『取返しのつかない』などという表現になるのである。 龍馬にとって、そんな『取返しのつかない』過去の取…
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