幸福の朝
坂本龍馬の朝は、トントントントン、と気持ちの良いリズムで始まる。 ふわりと鼻先を掠める出汁の香りにふすんと小さく鼻を鳴らして、満ち足りた気持ちでまた布団の中に鼻先を埋める。 この二度寝をキメる瞬間が、龍馬にとっては最高に幸福な瞬間だ。 も…
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プール掃除
むんわりとなんとも言いがたい生臭い匂いが立ちこめている。 厭になるほどカンカンと照る太陽の下、以蔵はげんなりとため息をついた。 日頃の行いがそれほど良くないことが祟ってか、帰りがけに体育教師に捕まり、プール掃除を言い渡されたのだ。 プール…
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おにぎりたべたい
「以蔵さぁん……」 へろへろと帰宅して、坂本龍馬は情けない声音で呻いた。 いつもなら龍馬は仕事が終わったらまっすぐに帰宅する。 何故ならば押して押して押して押して押しまくってようやく手に入れた恋人が自宅で夕飯を作って待ってくれているからだ。…
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深夜ラーメン
それは、とある日の深夜の事だった。 撮影の近くなった仕事の為に、台本を読み込んでいた龍馬はぐうと腹が鳴る音に視線を伏せる。 別段目で見てわかるほど凹んでいる、というわけはないのだけれども、つい目視で確認してしまう。 なんとなく、へこんだ気…
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失恋
「にゃあ」「おん?」 それは暑い夏の日のことだった。 放課後の教室、窓辺では日に焼けて白んだカーテンが風に吹かれてひらひらと泳ぐように揺れていた。 本を読みつつ、課題をこなす幼馴染みを待っていた龍馬はかけられた声に視線を擡げる。 課題に取り…
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朝ごはん
坂本龍馬と岡田以上が同居以上同棲未満の生活を始めてしばらくが過ぎた。 最初は何か特別だった二人暮らしが、しっくりとハマった日常に変わってからしばらく。 二人の朝は、大抵穏やかに賑やかだ。「龍馬、朝やぞ!しゃんしゃん起きぃ!」「……、ぁと、…
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肉を喰らう
それはある日のことだ。 一緒にご飯に行こう、と誘われて以蔵が龍馬につれていかれたのは、立ち食いでステーキが楽しめるという店だった。 開幕いきなりステーキが食べられるという最近巷で流行り始めた店である。「僕はリブロースステーキを400gで」…
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雨の日
ざあ。ざあ。ざあ。 ざあ。ざあ。ざあ。ざあ。ざあ。ざあ。ざあ。 雨の音がする。「なかなか止まんのう」 以蔵は軒下より差し出した掌で大粒の雨を受け止めて、げんなりとした調子で呻いた。 隣で同じく雨宿りしていた子どもが「うん」と小さく頷く。 週…
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今世はもう、
以蔵には、幼馴染みがいた。 名を、竜崎■■■という。 その方が強くてかっこいいから、という理由で「お竜」と呼ぶことを周囲に強制する変わり者ではあったが、以蔵にとっては気の置けない親友でもあった。 以蔵とお竜は家が近所であったということもあ…
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嫉妬2
「なんだ、お竜さんの留守中に強盗にでも入られたのか」 翌日の朝、事務所にやってくるなりそんなコメントを漏らしたお竜に、部屋を荒らした張本人である龍馬ははは、と小さく苦笑をしながらそっと目をそらした。 つい、我慢がきかなかったのだ。 惚れて惚…
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嫉妬1
それは、偶然だった。 ふと坂本探偵事務所とは関係ない筋からの頼まれごとで出かけた先にて、以蔵は自らの雇い主剣が雇い主兼愛人以上恋人未満たる男がデレデレと女を口説いている現場に出くわしてぱちりとヒトツ瞬いた。「ほお」 思わず低い声音が零れ落…
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あやかし退治
「おうおう、悪いもんがこじゃんとたまりよって」 最近自殺者が多発しているという廃ビルの手前、長く癖のある黒髪を無造作に肩に流した男が言う。 灰のシャツに、黒のベストにスラックス。 日に焼けた肌と合いまり全体的に色味の暗い、闇に溶け込みそうな…
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