以蔵さんに告白したら霊基異常を疑われている龍馬さんの話
「のう、マスター」 それはある日のことだった。 食堂にて遅めの昼食を食べているところで、ひどく神妙な声と顔で呼びかけられてマスターははた、と居住まいを正した。 向かう先にいるのは、和服の上からインパネスコートを着込んだ男だ。 岡田以蔵。 日…
龍以SSカルデア軸,龍以
薙刀
「ほいじゃあ、やろうか」「おん」 二人はそう言葉を交わして対面にす、と腰を落とす。 日頃は白の海軍服に身を包む龍馬も、今は袴姿だ。 互いに構えるのは木製の薙刀と竹刀。 あくまで模擬戦、本気で命をやりあうつもりはない。 静かにその場に腰を落と…
龍以SSカルデア軸,死して,龍以
ヒトガタカタパルトのその後
以蔵をぶん投げた後は振り返りもせずにすっ飛んできたお竜は、べろんべろんと龍馬の傷を舐めたくって癒やす。 純粋に怪我を癒やすというだけでなく、同時に解呪もしてくれているのか、霊基の軋むような不快感が少しずつ薄れていくのに龍馬はほうと息を吐い…
龍以SSカルデア軸,死して,龍以
明けぬ夜の先
そのひとが家を出るのはいつだって夜だった。 幼い妹が寝付くまでは傍にいてやり、彼女がすややかに寝入った頃に静かに身支度を整えてローマを呼びに来る。「わしは帰れんかもしれんきに」 それが彼の口癖だった。 かつての故郷の闇に沈む装束に身を包み…
龍以短編カルデア軸,ロマダイ,龍以
南国より幸いを君へ
カルデアに、夏休みが実装された。 どういうことかと思うだろう。 初めてそれを聞かされた折には、龍馬と以蔵も顔を見合わせたものだ。 お竜だけが暢気にふわふわといつものように龍馬の肩のあたりを漂っていた。 つまりは、こうだ。 ある種のストラ…
龍以短編カルデア軸,龍以
蝉時雨
じいわ、じいわと蝉が啼いている。 うだるような暑さの中を、以蔵はてくてくと歩いていた。 人ならぬ身とはいえ、生前の記憶を反映しているのはどうにも熱気が身に染みて額からはふつふつと汗が浮く。 それでも身に纏う装束を変えなかったのは、それが気…
龍以短編カルデア軸,龍以
魔力供給
ぜい、ぜい、と荒い呼吸が酷く耳障りだった。 以蔵はぐったりと木陰に身を横たえて、呼吸を整える。 古代バビロニアの、魔力と濃い緑の香りが溶け合った大気に鉄錆めいた血の匂いが広がっていく。 獣に喰い破られた腹のあたりがぐっしょりと血に濡れて気…
龍以短編カルデア軸,龍以
やりなおしの春が往く
それは新年があけてからしばらく経ってのことだった。 雀の宿で起きた騒動を解決し、マスターが意気揚々と彷徨海のベースに戻ってきたのが一週間ほど前のこと。 それからは特に新しい特異点が見つかることもなければ、新たな異聞帯に踏み込む支度も整って…
龍以短編カルデア軸,死して,龍以
ばいおれんすせっすす 
それは取引の帰りのことだ。 荒くれものが多く集う港の近くのバーにて商談を終わらせた男、坂本龍馬は雑然とした―――それでいて全体的な雰囲気は酷く調和がとれている――――バーの人混みをかき分けるようにして出口へと向かう。 いかにも肉体労働に…
龍以短編マフィアパロ,龍以
わりことしぃ 
「――……少しだけ、少しだけ」 龍馬は自分にいいわけをするようにつぶやきながら、よたりとソファへと足を向けた。 本当なら、そろそろ自室に戻って寝た方がいいのはわかっている。 ここしばらく探偵としての仕事が珍しく立て込んでおり、ちょっとばかり…
龍以短編坂本探偵事務所,龍以
龍馬さんが怖い目にあう話。
それは、重苦しい曇り空の日のことだった。 雲がある分過ごしやすいかとも思ったのだが――…そんなささやかな期待は見事に裏切られ、じっとりとした蒸し暑さが空気を火照らせている。 着ているシャツが素肌にまとわりつくような不快感に、龍馬は眉を寄せ…
龍以短編微ホラー,龍以
以蔵さんの夢の話。
その日は空があんまりにも蒼かったもので、龍馬は何か厭な予感がしたものだ。 悪いことが起きる日というものは、いつだって空がやけに綺麗だ。「龍馬、何をぼーっとしちゅう」「ああ、以蔵さんか」 背後からかけられた声に、龍馬が振り返るより先に声の主…
龍以短編坂本オルタ,微ホラー,龍以